1. ホーム
  2. 機能創成セミナー

機能創成セミナー Seminar on Mechanical Science and Bioengineering

第214回
2025年7月7日(月)
15:50-16:20
[July 7th 2025 (Mon) 15:50-16:20]
基礎工学研究科 B棟302教室
実験と数値計算による沸騰熱伝達の基本構造の理解
沸騰熱伝達は他の伝熱形態と比較して高い熱伝達率を有している.この沸騰熱伝達を気体や液体の強制対流のみでは適切な動作温度以下に冷却することが難しくなっているCPUやGPU,パワー半導体などの高発熱密度体の冷却に利用する動きが高まっている.一方,沸騰がなぜ高い熱伝達率をもつかという問いに対する答えは現在も明確でなく,沸騰熱伝達メカニズムには不明な点が残されている.我々は,実験・数値計算による沸騰素過程の直接観察に基づいて現象理解を進める方針で研究を行ってきた.本講演では,高速度赤外線カメラを用いた壁面温度・熱輸送分布の可視化を通じて明らかにした,沸騰熱伝達を構成する各種伝熱素過程の局所伝熱特性や全熱輸送に対する寄与,限界熱流束発生機構などについて紹介する.また,実験を通じて水の沸騰において壁面熱輸送を支配していることが分かった対流熱伝達の伝熱機構を,数値計算で調べた結果についても紹介する.
矢吹智英(九州工業大学大学院工学研究院・教授)
世話人:後藤晋
第213回
2025年7月7日(月)
15:10-15:40
[July 7th 2025 (Mon) 15:10-15:40]
基礎工学研究科 B棟302教室
界面相分離を伴う流動現象の実験・数値シミュレーションによる理解
微小な空間で高粘性流体を低粘性流体が置換する際、Saffman-Taylor不安定性もしくはviscous fingering(VF)と呼ばれる指状の模様を呈する。そしてその2流体はこれまで非混和系、完全混和系で議論されてきた。近年、2流体が任意の割合で互いに混ざり合う部分混和系での研究がはじめられた。部分混和系VFでは完全混和系・非混和系とは定性的に異なり、指状ではなく多数の液滴を生成することが実験的に示された。そして化学ポテンシャル勾配に起因する自発対流によるKorteweg効果により、その液滴は自走することも確認された。数値シミュレーションもいくつか提案され、実験を再現できるものの報告もある。本講演では、実験とシミュレーションによる部分混和系VFダイナミクスとそのメカニズムについてまとめて紹介する。
鈴木龍汰 (東京農工大学西東京三大学共同サステナビリティ国際社会実装研究センター・特任助教)
世話人:後藤晋
第212回
2025年6月24日(火)
15:30-16:30
[June 24th 2025 (Tue) 15:30-16:30]
基礎工学研究科 D棟共用セミナー室
Surprising thermodynamics of landfalling hurricanes
A hurricane over the ocean functions as a heat engine, its heat source being the moisture from the warm ocean. When a hurricane hits land, the heat source is lost, and consequently, it decays. This decay is considered to be a non-thermodynamic process. Contrary to this prevailing paradigm, we argue that thermodynamics plays a key role in the evolution of landfalling hurricanes and that the thermodynamic effect is orchestrated by the moisture stored in the hurricane from its journey over the ocean prior to landfall. This talk is based on joint research with Lin Li.
1. L. Li and P. Chakraborty, Slower decay of landfalling hurricanes in a warming world, Nature, vol. 587, pp. 230-234, 2020.
2. L. Li and P. Chakraborty, Birth of a cold core in tropical cyclones past landfall, Physical Review Fluids, vol. 6, article L051801, 2021.
Pinaki Chakraborty (Okinawa Institute of Science and Technology)
世話人:後藤晋
第211回
2025年5月22日(木)
15:30-16:30
[May 22nd 2025 (Thu) 15:30-16:30]
基礎工学研究科 J棟 共用セミナー室 (J114室)
列車・トンネル系の空気力学~新しい新幹線先頭部の開発~
列車・トンネル系の空気力学では,圧縮性を考慮した理論解析,数値解析(CFD)およびマッハ数に基づく相似測を満たす模型実験などによって,列車のトンネル突入・退出,すれ違いなどによって生じる圧力波と列車周りの圧力場を研究している.例えば,列車のトンネル突入時に生じる圧縮波は,トンネル出口で生じる微気圧波を低減するため,圧縮波の勾配をなだらかにする先頭部形状を開発する必要がある.従来は,先頭部中央部では断面積変化率を一定にする形状が良いとされてきたが,最新の研究では,中央でも積極的に断面積変化を与える3段型先頭部が効果的であることを明らかとなった.これは,線形音響学,圧縮性を考慮したCFD,時速360 km/hで列車模型を発射する模型実験を駆使した成果である.本講演では,列車トンネル系の諸問題に対する鉄道総研での取り組みと,列車先頭部に関する最新の研究成果を紹介する.
宮地徳蔵 (公益財団法人鉄道総合技術研究所 熱・空気流動研究室 研究室長)
世話人:杉山和靖

お問い合わせ